音源
Songs
苗取唄
なえとりうた
歌詞
Lyrics
苗はようとるよ
木登り苗がよ
千把百とるよ
仕事とりつきゃ
歌出せ女子
仕事たいぎな
苦に見せな
歌え十七
声張り上げて
歌い負けるな
鶯(ウグイス)に
今年な豊年
穂に穂が咲いて
道の小草にゃ
米がなる
「奥備中の⺠謡」「音源」より
歌は三ふし所でかわる つけて流せばしは一つ
高い山見りゃきりないとあるが あなた顔見りゃきりが無い
あなた見たよなきれいな花が さいております来る道に
花は千さく桜は八重に なぜに朝顔一重にさく
苗をようとる木のぼり苗を 千ば百とるまだもとる
「岡山県緊急⺠謡調査報告書」より
(だし)苗はナーよう取るヨー
(つけ)ソーレ
(だし)木のぼりヨー 苗をヨー
(つけ)千把ナー 百取るヨー ヤンサ まだも取るヨー
(だし)木のぼリォー 苗をヨー
(つけ)千把ナー 百取るヨー ヤンサ まだも取るヨー
○苗はよう取る木のぼり笛を
千把百取るまだも取る
○千把百どもよう取るうちか
二千百取るまだもとる
○歌をうたえば楽そに見ようが
楽にゃござらぬ苦のあまり
○歌の上手が一人よりも
下手な連れ節面白い
○歌を出したがつけても
呉れぬ 心袖ない友達よ
○心袖のうてつけぬじゃないが
腹にゃ三月の子がござる (声が幼のてつけられぬ)
○声が幼なけりゃ幼な声出しゃれ
誰も一度は幼な声
○三月四月は袖でもかくす
もはや七月あらわれる
○主がござれば前から知れる
裏の小池の鴨が立つ
○鴨の立つ時は必ずおいで
鴨は契りの深い鳥
○花はいろいろ五色に咲けど
主にたとえる花がない
○下へ下へと枯木を流す
下で枯木に花が咲く
「哲⻄の⺠謡」より
基本情報
Metadata
| 伝承地 | 哲多 |
|---|---|
| 伝承者 | 奥津武志、地元有志 |
| 年代 | 1982年より以前 |
| 詞型 | 7775 |
解説
Commentary
唄:奥津武志さん
1903年新見の哲多新砥生まれ。幼少から牛とともに育ち、農家を続ける。
尺八も所有されていた。歌うことが好きで、そのソウルフルな歌声は⺠謡関係者をはじめ、沢山の人に評価された。特に新見の田植え唄でよく知られている。歌は先代や地元の歌い手を手本に独学で身につけられたのでは、とお孫さんは語る。
彼の歌声は「日本⺠謡大観中国篇付属CD4」や「伝承者が唄うおかやまの唄第2集LP」に収められている。
籾をまいてから49日目の苗は取るものではないといって、48日目に取っていたが、いまは、30日から40日目のしりの軽い若苗を取るので、ドンビ苗(ドビン苗ともいう)はなくなった。ドンビ苗というのは、根が⻑くて泥がたくさんついている苗のことで、嫁が正月に親の家に泊りに行って早く帰らぬことを、ドンビになるといった。苗代に藁肥を入れるとドンビ苗ができるので柴肥を入れていたが、いまは柴草も刈らなくなった。手に豆を出しながら苦しまぎれに苗取り歌を唄ったという。
「哲⻄の⺠謡1」より
苗取り唄は苗代から苗を取るときに、腰や指先の痛みをまぎらわすのに歌ったものである。苗はモミをまいてから四十九日目のナワビには取らない。阿哲郡神郷町(旧新郷村)や新見市千屋花見などでは、この日に取った苗は棺の詰めになるという。
苗取りは腰をおとし、前かがみに両手で取り、これを一つにしてナワデ(藁)で束ねる。苗取りのコツは小指とくすり指と中指に力を入れ、苗を折らないようによく泥をおとして根元をそろえる。根元のそろっていない苗束を「木のぼり苗」といい、木のぼり苗は植えるのに手間がかかり、田植えの早さに影響した。苗を取ったあとの苗代はウシンガ(牛鍬)や鍬で掘り起こして田植えをするが、この田にはモチ苗を植えない。植えると四十九陰餅になるという。
「奥備中の⺠謡」より