音源

Songs

せきびぜん「玉藻前曦袂」盆踊り大会録音

せきびぜん「たまものまえあさひのたもと」

せきびぜんスタジオ録音

せきびぜん

歌詞

Lyrics

囃子 アラサコラサ/ アラドッコイドッコイッドコイナ

早や夕陽も傾きて 無常を告ぐる鐘の音も
いとど淋しき⻩昏や 間毎を照らす銀燭の
光りまばゆき白書院 程もあらせず入来る
鷲塚金藤次秀が 素封(そほう)の肩肘いかつげに
上座にこそは押し直る かくと知らせに館の後室
衣紋正しく出で迎ひ「御上司様には御苦労千万、
皇子(おうじ)様より御諚の趣き(おもき)、仰せ聞けられ下さりませ」と、
事情の言葉に一揖(ふし)し「上意の次第余の儀にあらず、
皇子かねて御懇望ありし 獅子王の剣、今日中に
さし上げるか、さもなくば、桂姫が首討って
渡さるか、さもなくば 二つに一つの御返答、
ただ今仰せ聞けられは」「思いがけなき御難題。
その剣は紛失致し、所々方々と尋ぬれども、
今において行方知れず、今しばしの御容赦を」
「アヽイヤそりゃならぬ。 皇子御心(みこころ)をかけられし
たびたび催促ありしれど、とやかくと言ひ延ばし、
打捨て置かるる事か、貴族の威勢にぶき似たり
以てのほか御いきどおり、剣がなくば桂姫、
首にしてお渡しなされ」退引き(のっぴき)させぬ釘鎹(かすがひ)、
胸にひっしと萩の方、途方涙にくれ給ふ。
後に始終桂姫、こなたの間(ま)には初花が
忍んで様子立聞きて、知らず御台(みだい)は涙をはらひ
「とても手詰めになる上は、いづれ遁(のが)れぬ娘が命、
未練の申し事ながら、一通り聞いてた給え、
過ぎ去り給ふ夫道春(てんどうのはる)、夫婦の中に子なきを憂ひ、
清水(しみず)のほとり三神(さんじん)の社 立願込め、三七日の
帰るさ中に産子(うぶご)の声を、肌に添へしは雌⻯(めりょう)の鍬形(くがた)、
由ある人の種(たね)ならん、神の御告げと連れ帰り、
育て上げしは桂姫、間もなく設けしアノ初花と、
右と左に月花と、眺め暮らせし、姉妹を、
是非に一人はない命。殺さにゃならぬ品となる。
せめて夫がましまさば、問ひ談合もあらうものを、
何を言うても身一つに かゝるうめきも前生の報(むく)ひ
悲しや」と身を悔み 涙止め兼ね見えけるが、
思案極めて顔を上げ「杖柱(つえはしら)とも思ふ姉妹の、
勝り劣りはなけれども、剣で殺せば三神(さんしん)への畏れ
殊(こと)に義理ある姉妹(おとどい)を、こゝの道理を汲み分けて、
妹の初花給はれば、この上もなき御情(おなさけ)」
言はせも果てず声荒らげ「咎めは畏(おそれ)れ、神の身の

皇子のおおせ、御用はなされ、それはともあれ、上意が受けた
我に代りなどと思ひもよらず、無益の問答聞く耳持たぬ。
只今」と詰寄って、叶はぬところと胸を据ゑ(す)え
「イヤのう御上使。武士は、物の哀れを知るといふ。
自らが一つの願ひは コレこの双六盤(すごろくばん)。
二人の命を天道の任せ、負けたる方(ほう)の首を討てば、
せめてはその定業(じょうごう)とあきらめられる事もある。
どうぞこの儀を御了見(ごりょうけん)、これ慈悲じゃ。聞き分けて」
義理と恩愛二筋に、伝ふ涙は雨やさめ、
身に降りかかる桂姫、母の情(なさけ)のありがたさ
「御慈悲(ごじひ)」と言ふも口ごもる。振の袂(たもと)にしらさめの
晴れ間は更に見えざりき「エヽさまざまの夜迷いごと、
見物するもまどろしけれど、ハテ何としよう是非がなく、
きりきりとお始めなされ、勝負が付くがすぐに寂滅(じゃくめ)」
「ヲヽなるほどなるほど、それと明かさば女気の、
歎きに心かき曇り、取り乱しは詮(せん)もない、
たゞよそながら暇乞ひ(いとまごひ)、一思ひに」と言ひさして、
泣く泣く取り出す用意の褥(ひとね) 四隅に樒(しきみ)の一本も、

露を待つ間の蜉蝣(かげろふ)の、哀れはかなきありさまを、
几帳(きちょう)の影に采女之助(うねめのすけ) 『かゝる難儀もわれゆゑ』と、
思へど出るにも出られぬ仕儀(しぎ)。 千々(ちぢ)に心を苦しめる。
思ひは、同じ母親が、『これが冥途の使い』と思へ
いとも急(せ)きのぼる 胸は子故こゆえの五月闇(さつきやみ)、
(梅雨のころの夜が暗いこと。また、そのくらやみ。)

あやめも分かぬくもり声 「娘々」と呼び出(いだ)す
「アイ」と返事も一様に、かくとは誰も白小袖(しろこそで)、

死出(しいで)の晴着と姉妹(おとどい)が、姿も対の雪柳、

萎(しお)れ出(い)でたる屠所(としょ)の道。羊の歩みたどたどと
最後の座にと押し直る。一目見るより萩の方
『さてはようすを聞きしか』と、先を取られて今更に、
とかく答へも涙なる。母の歎き(なげき)にかき曇る


浄瑠璃、時代物。原作は寛延四年(一七五一)大坂豊竹座初演。浪岡橘平・浅田一鳥・安田蛙桂(中村阿契)合作。改作は文化三年(一八〇六)大坂御霊境内鶴沢座初演。近松梅枝軒・佐川藤太添作。いずれも五段。天竺から唐土・日本と渡った金毛九尾の狐の伝説を脚色したもの。
「玉藻前曦袂 タマモノマエアサヒノタモト」より

基本情報

Metadata

伝承地大佐
詞型1)7575/7777

解説

Commentary

「せきびぜん」は大佐の他の盆踊りに比べ太鼓が複雑。
新見の中で唯一踊られているナンバー。なお新庄村には「はやびぜん」という盆踊りがある。
「せきびぜん」という名前からして関備前守との関連性があるのか。

元禄10年(1697年)、関備前守⻑治(せき-びぜんのかみ-ながはる)が初代新見藩主として1万8千石の格式をもって津山より移封された。


新見では大佐で唯一この演目を好んで口説く。

玉藻前曦袂・道春館の段(たまものまえあさひのたもと・みちはるやかたのだん)

あらすじ

道春の後室萩の方が采女之助を呼び、紛失した獅子王の剣の探索を頼んでいると、そこに皇子からの使者として鷲塚金藤次がやってきました。金藤次は、皇子が以前から望んでいる獅子王の剣を差し上げるか、もしくは桂姫の首を討って渡すか、二つに一つと返答を迫ります。

萩の方は、桂姫が実子ではなく、子のない夫婦が祇園参籠の帰りに拾った義理の子であることを明かし、実子の初花姫を身替りにするよう頼みますが、金藤次は聞き入れません。そこで、姉妹に双六をさせ、負けた方の首を討つように頼みます。奥で様子を聞いていた二人の姫が、死を覚悟した白小袖姿で現れました。互いに自分が犠牲にと死を争いますが、母の勧めに双六を始め、ついに初花姫が負けます。

しかし金藤次は、思いがけず桂姫の首を討ちました。約束が違うと怒った萩の方は⻑刀を持って金藤次に斬りつけますが、かなわずに押さえ込まれてしまいます。そこに采女之助が現れ、金藤次を刺します。深傷を負った金藤次は、言い残すことがあると言い、桂姫こそ自分が捨てた娘であること、育ての親への恩義のために初花姫を討たず桂姫を討ったこと、獅子王の剣も仕官のために自分が盗みとり今は皇子の館にあることを、後悔しつつ語ります。
皆が嘆くうち、采女之助は剣を奪い返しに皇子の館へ行こうと立ち上がり、金藤次は刀を抜いて息絶えるのでした。
WEB淡路人形座より


玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)

歌舞伎

浄瑠璃、五段、時代物。浪岡橘平・浅田一鳥等合作。宝暦元年(1751)豊竹座。謡曲「殺生石」の王藻前の伝説を中心として、お伽草子「鶴の草子」の神仙譚を織り込んだものである。
この歌舞伎は一段目は印度、二段目が中国、三段目以後が日本を舞台としている。現在演じられているのは三段目の切「道春館」のみである。

まず三段目の舞台は清水寺で、王位を狙う薄雲の王子が右大臣道春の娘桂姫を妻にと望み納得しなければ首を打つようにと命ずる。その後、桂姫と陰陽師康成の弟采女之助が参詣に来て、姫は采女之助に恋心を訴える。姫を取り巻く薄雲の王子の一味を采女之助が追い払った後、場面が道春館になる。道春館の下りでは、桂姫の義理の姉妹である初花姫が登場する。彼女らは上使に来た鷲塚金藤

次に、双六の勝負で負けた方の首を切ると命じられる。双六に勝ったのは桂姫であったが、結局桂姫のほうの首が切り取られてしまい、初花姫や桂姫の父は嘆き悲しむ。その後初花姫は玉藻の前として入内することになる。

四段目では神泉苑にて、九尾の狐が憑いた初花姫が薄雲の王子の前に正体を明かし魔道の契りを交わすのを美福院が立ち聞き、玉藻の前を暗殺しようとするが、その体が異様な光を発するのである。
その後場面は那須野に変わる。那須野では、(実は王子の家来那須の八郎の住家)猟師の十作の娘おやなは姿が二つに見える奇病にかかっている。そこに神主と坊主が二人の婿を連れてくる。そして二人の婿とは別の、おやなの夫矢田の大六が帰宅。おやなを切る。実は離魂病とみせたもう一人は大六が入り込ませた遊女⻲菊であり、彼女はおやなとは双生児であった。押しかけ婿二人は実は三浦介・上総介であり、その矢に射られた十作は⻲菊を娘と知り、非を悔い、髪を下ろして坊主になる。

五段目では御所で殺生薄雲王子に寵愛を受けた⻲菊が訴訟を聴く場面である。⻲菊は神鏡を采女之助に渡して王子に殺されてしまう。安部康成が玉藻の前の正体を剣の威徳で表し、九尾の狐はまたもや飛び去ってしまう。その後九尾の狐は那須野で三浦介・上総介に殺され、石へと転ずる。が、坊主になった実作の祈りで怪異は消滅する。
参考「丸本時代物集4巻」

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